三宅 千空(愛知県)


昭和区の住宅地、ひときわ目立つ朱色のお寺があります。そこの坊守(ぼうもり/住職のパートナー)をされている千空(ちひろ)さん。阿弥陀様とのご縁を教えてくださった方でもあります。

みんなに慕われる「ちーちゃん」こと千空さんにお話しを伺いました。

グリーフケアや寺子屋などでハスワークを活用してくださり、いつもありがとうございます。ハスワークにはどのように出会われたのでしょうか。

「こんな素敵なものがあって。きっとお寺に合うと思う」と友人からハスを見せてもらい、お土産に蓮紙を置いていってくれました。自分でも実際に作ってみたら、とても心地よくハスを咲かせることができました。

教西寺さんには地域の子どもたちがよく出入りしていますよね。何か印象的なエピソードはありますか。

小学校高学年の女の子と、中学生の女の子と一緒にハスワークをしたときのこと。まずはお寺に飾ってあるものをみながら「お供えくださった方のものを置いてありますよ」と話してから作り始めて、彼女たちは波に乗って2つずつ作られて、そのひとつを、しかも自分が気に入ったほうを、お寺にお供えしたい、と置いて行ってくださいました。

それは素敵ですね。こちらから促してどうこうってことではなく、自然と出てくる行動と言いますか、そういう場面に立ち会えることは、主催者のだいご味だと思うことがあります。そのほかにもありますか。

完成させることが目的ではなくて、ハスワークを通して【自身の思いを大切に扱う】ことを大切にしています。ハスワークは取り組む人それぞれのタイミングで始めたり、進めたり、止まったりできるワークだと思います。取り組む人ひとつとして同じ花はないこと、どの花もそれぞれに美しいということ。自分を見つめる、誰かを思う、つまり、自然とグリーフケアの場(時間や空間、ともに過ごす人)になっているように思います。

一方、その場にいることがなんとなく落ち着かない方にとっては、例えば「どうやるかを聞き逃したり、思い込んだりしたことで、自分の思う物とはちがう物ができてしまった」、「こんなはずではなかった」という「理想との差」に、自身を責める方がいらっしゃることもあります。【思い通りにはならないこともある】それがおもしろいと思うし、同じ材料を使っているのに、その人の癖やこだわりがあらわれることもありますね。

千空さんは、ハスを通して、その方の内面やプロセスを、深く静かに見ておられる印象です。そういうところは常々、見習いたいと思っています。

蓮は仏さまの教えそのものと言われます。人はどうしても自身の内から湧き上がって止めることのできない悩みや愚痴、手放せない気持ちがあります。泥の中から美しい花を咲かせる蓮のように、泥の中にいて周りが見えないような私たちも、その時々に咲かせる花があって、その時々に手放せる思いがある、と体験を通して教えてくれるハスワークは、お寺で行うワークショップとしてぴったりだと思います。また、本堂を、ハスワークで埋めつくしたら、どんなにきれいだろうか、と思います。いつか取り組んでみたいですね。
今も祖母と祖父の仏壇には蓮が飾られています^_^

本日はお話ありがとうございました。これからもよろしくお願いします。

いえいえ、こちらこそこれからもよろしくお願いします!

三宅 千空(愛知県)

浄土真宗本願寺派教西寺(きょうさいじ)坊守、子どもが3人いて歌うこと、作ることが好き。お寺では、グリーフケアの場づくり、テンプルモーニング~お寺で朝掃除、よっ寺ぁ~お寺開放日などを開催している。お寺には季節のお花がいつも咲いている。